前回は、犬の散歩が飼い主の精神的健康の維持と幸福感に貢献しているというお話をしました。今回は、犬を飼っていない人でも、簡単に生活に取り入れられそうなメンタルヘルスケアのお話です。

心身の健康促進、病気の未然予防の研究とその普及に力を注ぐDr. William Bird は、病気になってから治療をするよりも、未然予防の知識を得て、それを実践することの方が良いと述べています。Bird医師の著書『Walking for Health and Happiness』では、私たちの心身がどれだけ自然や大地の力の影響を受けるかと同時に、身体を動かすことがいかに大切であるかを語っています。そして、「研究を進めれば進めるほど、自然から受ける心身への影響の大きさわかってきた」と言っています。しかし「現代の暮らしは、かつてないほどに自然から遠ざかっている」と指摘もしています。

Dr. Birdは、自然と治療・治癒との関係も研究しました。結果、自然との関わりを増やすことによって、ADHDの子供たちの症状が緩和されたこと、自然に触れずにいた患者より、自然に触れることが多かった患者の方が、手術後の回復が良く、痛み止めも少なくすんだこと、などを報告しています。
同時にドクターは自然の中でのウォーキングがいかに心身に良いかを説明。心身の健康維持と未然予防には適度な運動を日常に取り入れることが大切であり、特にストレスを解消して気分をよくする自然の中でのウォーキング効果は、私たちの予想を遥かに超えるものだと言っています。

日本では、札幌市立大学と山形県上山市が共同で調査を行いました。蔵王坊平高原などの山岳地域や温泉街を活用して実験をし、自然の中を歩くことに心理的な改善効果があることを立証しました。

この調査のきっかけとなったのは、上山市が東日本大震災の被災者十数人を招き、ウォーキングに誘ったことでした。初めは身内の死や自宅がなくなったことなどを話し、暗い気持ちで歩いていた被災者は、約一時間森林を歩き続けるうちに、野鳥や山菜などの話題を口にするようになり、しだいに笑顔が戻りました。そして、その明るさとはつらつ感は翌日にも持続していたそうです。招いた側は「あんなに暗かった人たちが、こんなに元気になるのか」と、予想を遥かに超えた結果に驚いたそうです。

自然の癒しの力を借りて、みんなが心身ともに幸せで健康な毎日を送れますように。
(参照:: Walking for Health and Happiness. By William Bird and Veronica Reynolds)

*ライトハウス2012年9月16日号掲載
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