カウンセリングをしているといろいろな話を聞きます。

その一つに「生きている喜びを感じない」というのがあります。

ウツ病などの気分に関わる病気を患っていたり、心の問題を抱えている場合は別ですが、特にそういった理由もないのに「生きていても嬉しくない」という人が少なくないのです。健康で、生活を営むのに特に問題はない、中にはお金もいっぱいあって何の不自由もしていない、それなのに「生きていても幸せでない」というのです。

以前のコラムで“幸せな人“の特徴を5つあげました。その特徴の一つが「感謝の気持ちが大きい」というのがありまあす。
たとえ同じような環境にいる人でも、感謝の心しだいで、幸福感が変わります。(他の四つは希望、熱意、好奇心、愛にあふれた心です)。

私達の多くは平和で豊かな時代の日本に生まれ育ちました。人間は自分がよく見たり聞いたりするものと自分を無意識に比較します。経済大国での生活は、毎日普通に生活ができることが当たり前になります。

それどころか、よくメディアで見るような贅沢な商品や生活に羨望感を抱き、より贅沢を求める心を煽られます。とにかく「人から羨ましがられるような生活がしたい」ということを聞くのです。
雨風をしのいでくれる屋根があって、水道の蛇口をひねったらきれいな水が出る、スイッチ一つで電気が点いて、病院や学校があって、食べ物も物も豊富にある。ミルクを充分に飲めずに死んでいく赤ちゃんや栄養失調でお腹の膨れた子供達はいない。

私たちはこういったことを当然のことと思っていたのかもしれません。

「死ぬ理由がないから生きている」ということも聞きます。 昔は、出産で命を落としたり、子供だってみなが無事大きくなるかわかりませんでした。七五三の年まで育ち一安心しても、その後、今の医療では何でもないような病気で命を失いました。

人間の歴史上で考えると、ごく最近まで、生きていることは当たり前のことではなかったはずです。

故中村天風氏の言葉に「魚は水の中で生きていながら、それを知らない」とあります。

今日ある命や、平穏無事に送れた一日、暖かいベッドで眠れること、目が見えること、耳が聞こえること、子供に充分な食べ物を与えられること、学校や病院へ行けること、戦争や虐殺のない所で生きられること、数え切れないほどある多くの恵みにもう一度目を向け感謝の気持ちで暮らしてゆけたらいいと思います。

(ライトハウス 2011年5月1日号)
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